トランス脂肪酸とは?健康への影響と食品選びのポイント

トランス脂肪酸は、できるだけ少なくしたい脂質です。ただし、日本人の平均摷取量は国際的な目標を下回っており、マーガリンを一度食べただけで健康を損なうようなものではありません。大切なのは、特定の食品を怖がることではなく、揚げ物や菓子パンなどに偏る食生活を見直すことです。

この記事の要点

  • トランス脂肪酸は工業的な油脂加工のほか、反すう動物由来の食品にも少量含まれます
  • 摂りすぎはLDLコレステロールの増加などを介して冠動脈疾患リスクと関連します
  • 日本では平均摂取量が低いため、脂質全体の質と食事バランスを見ることが実践的です

トランス脂肪酸とは何ですか

シス型とトランス型の脂肪酸構造を食品例と比較したイラスト

脂肪酸には分子の形によって「シス型」と「トランス型」があります。トランス脂肪酸は、不飽和脂肪酸の一部がトランス型になったものです。植物油を加工する過程で生じるもののほか、牛や羊などの反すう動物の肉・乳にも天然由来のものが少量含まれます。

かつては、油を固形化しやすくする部分水素添加油脂が、マーガリン、ショートニング、菓子類などに広く使われていました。現在は製造工程の改善が進み、同じ食品群でも含有量には大きな差があります。

なぜ摂りすぎが問題になるのですか

加工食品と血管内の脂質粒子・血管壁の変化を示すイラスト

工業的に作られたトランス脂肪酸を多く摂る食生活は、LDLコレステロールを上げ、HDLコレステロールを下げる方向に働き、冠動脈疾患のリスク上昇と関連します。そのためWHOは、総エネルギー摂取量の1%未満に抑える目標を示しています。

一方、厚生労働省は、日本人の平均摂取量が総エネルギーの約0.3%で、大多数が1%未満と説明しています。通常の食生活では影響は小さいと考えられますが、菓子類、揚げ物、脂質の多い加工食品に偏る人は注意が必要です。

食品表示はどのように見ればよいですか

売場で2つの包装食品の表示を比較する様子

日本ではトランス脂肪酸量の表示は義務ではないため、表示がないことは「ゼロ」を意味しません。また、「マーガリン」「ショートニング」という原材料名だけで含有量を正確に判断することもできません。

確認するときは、メーカーが自主的に公開している栄養情報を参考にしつつ、飽和脂肪酸、総脂質、エネルギー量も一緒に見ましょう。ひとつの成分だけを避けても、食べる量や食事全体が偏っていれば、健康的な選択とは限りません。

日常でできる減らし方

魚・野菜・豆・ナッツを組み合わせた家庭の食事
  • 菓子パン、スナック、揚げ物を「毎日の定番」にしない
  • 主菜は魚、大豆、脂身の少ない肉も組み合わせる
  • 家庭では、同じ油を長時間・繰り返し加熱しすぎない
  • 特定の油脂をゼロにするより、野菜、豆、全粒穀物などを含む食事全体を整える

トランス脂肪酸対策の中心は「禁止食品リスト」ではありません。加工食品が重なる頻度を下げ、脂質の質と食事の多様性を整えることが、無理なく続けやすい方法です。

参考資料

この記事を書いた人

磯野しょうご

合同会社minato CEO
柔道整復師として整骨院・スポーツ現場・パーソナルジムの指導に携わる一方、医療・健康分野に特化したWEB制作、オンライン完結型ダイエットサポート、法人向け健康研修、テーピング代理店など複数の事業を展開。